多事雑論005 理科 ~なぜ男性に乳首があるのか~

子供に「ライオンの絵を描いて」と言われたら、人はどんな画を描くだろうか。おそらく、ほとんどの人は「オス」の絵を描くだろう。メスの絵では、猫だか何だか分からなくなるから。

人にとって身近な生き物には、その種を特徴づける形質を持つのがオスであることが多い。その特徴を分類すると、
・武器系:カブト虫のツノ、クワガタ虫の大アゴ、鹿のツノ、セイウチのキバ
・装飾系:ライオンのタテガミ、ヒトのヒゲ、クジャクの羽、テングザルの鼻
・その他:形状ではないが、鳴くセミはオス。ウグイスもホーホケキョと鳴くのはオスである。

こうして人は、子供の頃から「オス=派手・メス=地味」→「オス=原型・メス=亜型」そして「オス=主・メス=従」という感覚を身につけてしまう。しかしある時、ハタと気が付いた。
「ツノやタテガミを持つオスが原型で、『その特徴を取り去った地味な奴』がメス」なのだと思っていた。が、実は逆で、
「原型はメスで、そのベースに『武器だの飾りだの色々なオプションをくっつけた奴』がオス」なんじゃないか、と。

一般に、減数分裂により「卵細胞を生造するもの」がメス、「精細胞を生造するもの」がオスである。
メスは細胞にX染色体をダブルで持ち、オスはX染色体とY染色体をそれぞれひとつずつ持つ。
X染色体が膨大な遺伝情報を保有しているのに比べると、Y染色体は結構しょぼい。
Y染色体は生命進化の過程で、後発的に派生したのだろう。Y染色体の最も重要な役割は「精巣を作ること」。この精巣が男性ホルモンを生成し個体に浴びせることにより、その個体はオスの姿に「ムリヤリ捻じ曲げられて」いく。
つまり「オスはメスが変形したもの」なのだ。

有性生殖を行う雌雄異体の生物において、実はオスこそが「亜型」であり「従」であった。
したがって旧約聖書は、「神ははじめに女性を創り、その肋骨から夫となる男性を創った」と書くべきだった。

カマキリのように、交尾後メスのエサになる憐れなオスもいる。深海魚の或る種では「生殖器だけで本体がない」つまりメスに刺さったUSBメモリみたいな姿のオスもいる。同じオスとしては残念だが、案外こちらが本来的なのかもしれない。

ところで、人体で最も役に立たないと言われる『男の乳首』。なぜ、男性に無意味なる「乳の出ない、ちっちゃい乳首」がついているのか。
そう。男の乳首は、男がもともと女であった痕跡なのである。

『 We were all Female !! ~私たちはみんな、かつて女性だった~』